AI搭載ステープラーが「先読み」して動く――CMUが日常品を proactive ヘルパーに変革
カーネギー・メロン大学のヒューマン・コンピュータインタラクション研究所(HCII)の研究チームが、AIを活用して日常品に「先読みの知能」を付与する技術を開発した。 stapler(ホチキス)が人の手を待って机の上を滑り、必要なタイミングで届ける、あるいは包丁が人が手を伸ばす直前にずれて避ける――こうした動作は、魔法のように思えるが、実際はAIとロボット移動機構の融合によるものだ。 研究チームは、大規模言語モデル(LLM)と車輪付きの移動プラットフォームを組み合わせ、マグカップや皿、調理器具といった日常品に自律的な行動能力を付加。床や机の上を移動しながら、人の行動を観察し、次に何をしようとしているかを予測し、必要な支援を自動的に行う。このシステムは、ユーザーが命令を出さなくても、環境を観察して「何が必要か」を判断し、自ら動く点が特徴。研究チームはこれを「非侵襲的物理AI」と呼ぶ。 システムの仕組みは、天井に設置されたカメラで人の動きと物の位置を監視。その映像をテキストに変換し、LLMがその状況から人の目的を推論。その後、必要な行動(例:物を近づける、避ける)を対象の物品に伝達する。このプロセスにより、料理、オフィス作業、整理整頓など、日常のさまざまな場面で自然な支援が可能になる。 研究を主導するアイコラ・イオン助教授は、「ユーザーが命令しなくても、物が自ら適切な行動を取るシステムを実現したい」と語る。同研究チームのメンバーである博士課程学生のビオレット・ハン氏も、「人々は日常品に既に信頼を寄せている。その信頼をAIでさらに高めるのが目標」と述べる。 将来的には、帰宅時に買い物袋を下ろすための棚が自動で展開するなど、家庭や病院、工場など幅広い空間に応用できるとしている。2025年10月に韓国・釜山で開かれたACM UIST学会で研究成果が発表され、今後の物理空間におけるAI支援の新たな方向性を示している。
