Anthropic、州単位のAI規制強化を推進
AI研究企業アンソロピックは、各州の立法府に対し段階的に厳格なAI規制の導入を促す戦略を推進している。これはライバルのオープニングAIが提唱する「リバース・フェデラリズム」手法とは対照的なアプローチだ。アンソロピックの政府関係責任者セサル・フェルナンデスは、連邦法案の上限設定を目的とする業界動向に対し、同社は最も能力の高いAIシステムに対して実質的な安全基準の向上を目指すとの立場を表明した。 アンソロピックの政策関与はカリフォルニア州の2025年先進AI規制法を契機に本格化した。同社はこの法を基盤と位置づけ、ニューヨーク、イリノイ、マサチューセッツの各州でより厳格な法案を支持する動きを展開した。フェルナンデスは透明性や自己申告だけでは不十分であり、各州の法案が実質的な安全義務を前進させていると強調する。この戦略の背景には、同社のモデルClaude Mythosが主要OSの脆弱性を発見し、トランプ政権による輸出管理措置を発動させたセキュリティ懸念がある。 対するオープニングAIは、クリス・レヘイン最高ロビイストが掲げるリバース・フェデラリズムを堅持し、州ごとの規制差異を解消し全国的な枠組みを構築する方針だ。広報担当者リズ・ボージュワは、州レベルの保護規定が連邦執行を支え、開発者に矛盾する要件を解消すると反論した。実際、オープニングAIはカリフォルニア州の法を他州への模範と位置づける一方、イリノイ州の厳格な第三者監査義務を定めた法案にはアンソロピックと共に支持を表明している。 規制競争は政治資金動向にも明確に表れている。アンソロピックは規制強化に賛同する候補への支援をスーパーPAC経由や直接献金で進めており、フェルナンデスは適切な安全政策の制定なくして強力なAIの移行は社会に悪影響をもたらすと警告する。連邦議会が機能停滞し連邦政府の立場が揺らぐ現状において、州レベルでの規制基準争いが連邦政策の行方を左右する。両社の対立構造は、米国AI政策の最終的な方向性だけでなく、業界全体の安全性基準と競争環境に長期的な影響を与える見込みだ。
