完全公開医療AIフレームワークがLLM監査を実現
EPFLのLiGHT研究所は、臨床用大規模言語モデル構築のための完全オープンソース枠組み「MeditronFO」を公開した。医療AIの活用が進む一方、学習データや設計プロセスが非公開の商業モデルが多く、独立監査が困難な点が課題となっていた。同チームは開発全工程を透明化し、医療AIへの説明責任と科学的検証を確立するパイプラインを開発した。 MeditronFOは、OpenLMやEuroLLM、ETHチューリッヒと共同開発のApertusなどのベースモデルを医療用に最適化する仕組み。データ選定から処理手順、学習コード、評価基準まで全て公開されている。開発には臨床医を初期段階から参画させる「MOOVE」プログラムを採用し、公的医療データと臨床ガイドラインに基づく監修合成データで学習環境を構築した。 性能評価では、生成モデルすべてがベースモデルを上回る結果を記録。Apertus-70B-MeditronFOは医療ベンチマークで6.6ポイントの性能向上を示し、完全オープンでも高性能モデルの構築が可能であることを実証した。チームリーダーのXavier Theimer-Lienhard氏は、患者の生命に関わる医療AIには臨床資格と同様の透明性基準が必須だと強調する。 現在、スイスからタンザニアまでの複数医療現場を対象とした臨床実証プロジェクト「MED.USE」の準備を進めている。AI指示の採用率や患者アウトカムへの影響を長期的に追跡し、医療の質向上と不要な治療の削減効果を測定する。LiGHT所長のMary-Anne Hartley教授は、医療AI生態系は透明性と臨床関係者の参画を中核に置くべきだと指摘。プロプライエタリ依存のリスクに対し、オープン性と高性能の両立を示す新たな基準を提示した。
