スタンフォードとバークレーが連携、ゲノムAI「Evo 2」と警察不正行為データベースで科学と社会課題に挑む
スタンフォード大学とカリフォルニア大学バークレー校は、スポーツや学術面で競い合う関係にあるが、研究分野では強力なパートナーシップを築いている。特にゲノム科学や公共利益を目的としたデータサイエンス分野で、両校の研究者たちが専門性とリソースを統合し、科学的発見と社会的影響の両面で成果を上げている。その代表例が、ゲノムAIモデル「Evo 2」と、カリフォルニア州の警察不正行為データベースの構築である。 Evo 2は、パロアルトに拠点を置く独立研究機関「Arc Institute」のプロジェクトとして、スタンフォード、バークレー、UCSFの研究者が共同で開発した。このモデルは12万8000以上のゲノムから得られた93兆以上の塩基対を学習し、最大100万塩基対の配列処理が可能。従来のモデルを大きく上回る性能により、疾患の原因遺伝子の同定や遺伝子機能の解明、新しい生物システムの設計に貢献する可能性がある。Arc Instituteのコミュニケーション責任者ジョセフ・カプート氏は、「スタンフォードとバークレーが競い合うフィールドとは異なり、研究では両校の知的連携が進化を可能にした」と語る。 一方、警察不正行為に関するデータベースは、2019年にバークレーのジャーナリズム学生がカリフォルニア州の透明性法(S.B. 1421)に基づき多数の公開情報請求を始めたことをきっかけに始まった。これにスタンフォードの「Big Local News」とバークレーの調査報道プログラム、データ科学研究所が参加し、100人以上のジャーナリストや研究者・データサイエンティストが協力。バークレーはデータ処理や抽出のバックエンドを担当、スタンフォードはユーザーインターフェースの開発を支援。生成AIを活用して事件の分類や情報抽出を効率化しつつ、人間による検証で正確性を確保した。完成したデータベースはCalMatters、KQED、サンフランシスコ・クロニクル、ロサンゼルス・タイムズなど主要メディアがホストし、カリフォルニア州内の数百の警察機関の行動を市民が検索できるようになった。 このプロジェクトのリーダーであるスタンフォードのチェリ・フィリップス氏は、「地方ジャーナリズムはリソースが限られているため、こうした連携が不可欠。これは画期的な規模の協働だった」と評価した。スタンフォードとバークレーの研究連携は、科学の進展だけでなく、民主主義の強化や社会的透明性の向上にも貢献しており、今後の複雑な社会課題に対応するためのモデルとなる可能性を示している。
