AI 悪用により高等教育、評価方法の見直し迫られる
コンネル大学とカリフォルニア大学バークレー校の研究チームは、全米の公立大学 20 校の学生約 9 万 5,000 人のアンケート調査を通じて、生成型 AI の普及と不正使用が高等教育の評価体系に深刻な課題を投げかけていることを明らかにしました。2023 年から 24 年の学術年度に行われたこの大規模調査では、学生の約 3 割が課題作成に ChatGPT などの生成 AI を定期的に使用しており、そのうち 9% が不正行為に利用したことが示されました。特にコンピュータサイエンス専攻では利用率が 62% に達し、文系や芸術系などとの格差も確認されています。性や人種によっても利用頻度に差があり、男性や白人・アジア系の学生ほど利用率が高い傾向が見られました。研究チームは、こうした格差が学生の学習機会や将来の労働市場での競争力に影響を与える可能性を懸念しています。 不正使用の割合は、実際の供述が難しいため、リストランダム化実験という統計的手法を用いて推定されました。その結果、日常利用者の不正率は 26% でしたが、月 1 回利用する層では 7% にとどまり、全体的な不正利用は当初の噂ほど高くないとの見方もありますが、利用増加に伴い不正も増えることは否めません。これを受け、共同研究者のルネ・キジレチェク氏とイゴール・チリコフ氏らは、大学の評価方法の抜本的な改革を緊急性の高い課題として提唱しています。具体的には、記述式試験やプロクターによる監視といった従来の厳格な試験環境への回帰、AI 利用の明確なガイドラインの策定、あるいは AI を活用した職業的スキルの発揮を促す評価への転換などが提案されています。 さらに、学問分野ごとの特性を考慮し、専門団体による評価基準の策定も望ましくされていますが、同時に AI へのアクセスやリテラシーの格差が拡大しないよう、大学は細心の注意を払う必要があります。評価方法の変更を安易に進めることが、既存の教育格差をさらに悪化させるリスクがあるためです。この研究成果は学術誌『Science』に掲載され、AI 時代の高等教育における公平性と評価の信頼性をどう維持するかが、今後重要な課題となっていることを示しています。
