AI が全電池電解液レシピ生成、リチウム金属電池の最高性能に匹敵
シカゴ大学のプリッツカー分子工科大学校の研究チームは、人工知能を用いてリチウム金属電池の電解質の完全な化学組成を生成することに成功しました。同大学のチェブエーズ・アマンチュクワ准教授が率いるアマンチュクワ研究室と、第一著者であるジェアミン・キム氏らは、従来の手法では不可能なほど膨大な化学物質の組み合わせから、導電性、安定性、粘度など複数の要件を満たす最適な電解液のレシピを AI に自動生成させました。この研究論文は学術誌 JACS Au に掲載されています。 既存の AI モデルは主に医薬品開発向けに訓練されているため、電池素材には適さない傾向がありました。そこで研究チームは、電解質関連の化合物のみを含む独自のデータセットを構築し、モデルを訓練しました。さらに、電解質の構造だけでなく、溶媒の比率や塩濃度、温度などの混合条件も記述できる新しい化学言語「fLine」を開発しました。これにより、AI は単なる化学物質の特定ではなく、複雑な混合物としての電解液全体の設計を可能にしました。 実証実験の結果、AI が提案した新たな組成はいくつかにおいて既存の最高峰の電解液と同等の性能を示し、実用化への大きな希望となりました。この技術は、理論上の分子数が宇宙の星の数を超える可能性の中から、人間が手作業で検証不可能な領域を効率的に探索できることを示しています。今後の課題としては、モデルの規模拡大とさらなる性能向上があり、研究者らは生成された組成の実世界での検証を継続しながら、より広範な混合物の設計に応用できる汎用的な生成 AI の実現を目指しています。
