AI、心停止を 10~15 分前に警告
ペネンシルベニア大学ペルーマン医学部と応用科学研究所の共同研究チームは、心電図(ECG)データを用いて心停止を 10〜15 分前に警告する新しい人工知能モデル「CAMEL」の開発に成功しました。心臓専門医のラジット・デオ氏とコンピュータサイエンティストのラジーヴ・アルウル氏らが率いるこのプロジェクトは、病院で常時生成されている膨大な量の心電図データを、単なる一瞬の記録ではなく言語のように連続した文章として処理する画期的なアプローチを採用しています。 既存の AI 技術は心電図の異常を特定する分類に重点を置いていましたが、CAMEL は時間軸に沿った心拍のリズムパターンを分析し、将来の心電図変動を予測する機能にシフトしています。このモデルは従来の 10 秒間のスナップショットではなく、数時間にわたる連続的な患者モニタリングデータを処理できるため、従来のツールでは検出が難しかった微細な異常信号も捉えることが可能になりました。特に正常な洞調律の記録から、心室細動や心室頻拍といった危険な不整脈を引き起こす可能性を示唆する兆候を早期に察知する能力が示されています。 研究者たちは、このシステムを現実の医療現場に導入する前に、医療スタッフが誤作動で騒がされないよう、背景でリアルタイムの患者データを分析するテストを実施する予定です。特に深夜などの時間帯に偽陽性で警報が鳴ると、限られた医療リソースが奪われ、他の患者の対応が阻害されるため、予測の精度と信頼性を厳格に確認することが重要であると強調しています。今後の検証では、CAMEL の予測が現在の標準的な医療ケアを上回るかどうかを患者の転帰と比較して評価されます。 この技術は将来的には病院の重症患者室への応用が期待されていますが、研究者らは一般の人々が日常的に使用するウェアラブルデバイスとの連携にも大きな可能性を感じています。心電図データの蓄積を有効活用することで、個人の心臓状態を常に監視し、重篤な事態を未然に防ぐ社会の実現へとつなげたい考えです。
