NVIDIAが開発したAIエージェントでITチケットから自動解析を実現、グラフデータベースとNemotronでシステム的課題を可視化
NVIDIAのIT部門が開発したAIエージェント「ITelligence」は、ITチケットデータから深層的なインサイトを抽出する仕組みを構築した。このエージェントは、NVIDIA Nemotronのオープンモデルとグラフデータベースを組み合わせ、従来のチケット管理システムでは得られなかった構造化された知見を可視化する。主な目的は、無秩序なテキストデータから隠れた問題パターンやシステム的な課題を自動的に発見することだ。 システムの基盤は、複数の企業システム(ITSMプラットフォーム、端末情報、ユーザーIDなど)からデータをバッチ処理で抽出・正規化し、グラフデータベースに格納するETLパイプライン。各チケット、ユーザー、デバイス、所属グループなどをノードとして、OPENED_BY、ASSIGNED_TO、HAS_DEVICEなどの関係性で接続。これにより、複数のホップにわたる複雑な関係を効率的にクエリ可能にしている。 さらに、チケットに付加的な文脈情報を付与する「文脈拡張ジョブ」を実行。ユーザーの役職、所属チーム、使用デバイスなどと連携し、分析の精度を高める。次に、AIを活用した「原因分析(RCA)ジョブ」で、LLM(NVIDIA NIM経由のllama-3-70b-instruct)にチケットの内容を提示し、根拠となるキーワード(例:YubiKey、パスキー、Microsoft Authenticator)を抽出。従来の分類枠組みでは捉えきれない真の原因を可視化している。 その後、定期実行される「インサイト生成ジョブ」で、MTTR(平均修復時間)の高いチケットやCSAT(顧客満足度)が低いケースについて、AIが要因を要約。また、新入社員のチケットを分析してオンボーディングの課題を特定するなど、組織レベルの改善提案を自動生成。 これらのインサイトは、グラフ構造と連携して、関係するチームやマネージャーに個別に配信可能。また、KPIの異常変動を検知するアラートシステムも構築し、リアルタイムで問題発生を通知。 インターフェースとしては、自然言語対話型チャットボットではなく、Grafanaを活用したインタラクティブダッシュボードを採用。ユーザーがフィルターを設定すると、バックエンドのAPIが該当チケットを取得し、LLMで要約を生成。その結果をダッシュボード上に表示することで、手動でのチケット精査を不要にし、即時かつ文脈に応じたインサイトを提供。 このアーキテクチャはIT運用に限らず、セキュリティ対応、カスタマーサポート、施設管理など、あらゆるチケットベースの業務に応用可能。NVIDIAは、AIとグラフ技術の融合が、企業の意思決定を変える可能性を示している。
