ウェアラブルAIが慢性骨盤痛女性の長時間座りを予測
イカーン医科大学(マウントサイナイ)の研究チームは、慢性骨盤痛を患う女性の長時間座位傾向をウェアラブルデバイスデータを用いて予測する人工知能(AI)手法を開発した。本成果は2023年9月30日付で学術誌「npj Women's Health」にオンライン掲載された。慢性骨盤痛は女性の約7人に1人が罹患し、疼痛や疲労により日常生活で座位が長引く傾向が強い。従来の一般的な運動アドバイスは患者の実情に即しておらず、高精度なデジタル介入ツールへの期待が高まっていた。 研究チームは主に子宮内膜症などの慢性骨盤痛を抱える女性134名と健康な対照群61名を対象に、最大90日間のウェアラブルデータを収集・分析した。約10日分のデータで訓練されたパーソナライズ予測モデルは、覚醒中の1時間先における活動レベルと15分間の座位発生を高精度で予測することに成功した。この予測精度は複雑な深層学習モデルと同等であり、軽量で解釈性の高いアルゴリズムであることが示された。 本研究の最大の利点は、予測モデルが現実の臨床環境でもデータ欠損に頑健である点だ。アルゴリズムを端末内で直接実行可能であり、クラウドへのデータ送信を不要とするため、プライバシー保護と計算リソースの最適化が実現できる。シニア著者のIpek Ensari准教授は、本技術がウェアラブルを事前警告システムとして機能させ、不要な通知を最小限に抑えたパーソナライズされた運動プロンプトの提供を可能にすると強調した。 同チームは今後、この予測フレームワークを実時間適応型介入プロトコルに統合し、臨床試験を通じて座位時間削減や症状緩和、生活の質の向上効果を検証する予定である。本手法は慢性骨盤痛以外の座位が健康悪化要因となる疾患への展開も視野にあり、AI駆動のパーソナルヘルスコーチングツールの実現に向けた重要な一歩となる。
