アントロピックがClaudeにID提出を要請
Anthropicは6月17日付けで更新されたプライバシーポリシーにより、AIチャットボットClaudeの利用者に対して政府発行の身分証明書の提出や生体情報を求め、年齢と本人確認を行う方針を明らかにした。本方針は7月8日より施行され、全ユーザー対象ではなく、不正利用や詐欺行為の疑いでアカウント停止措置を受けた一部のユーザーを対象とした抗議手続きの強化が主目的である。 確認プロセスでは、パスポートや運転免許証のスキャン画像に加え、リアルタイムの自撮り写真または動画、および顔の幾何学構造を記録した生体データテンプレートの収集が行われる。Anthropicは同意済みの判定結果も記録するとしている。同社は検証サービスとしてSFのPersonaを採用しており、アカウント作成・管理や規約違反の調査、不正行為の防止を理由に本人確認を実施すると説明している。なお、収集データや生体情報の削除タイミングについては詳細な規定が明記されていない。 本措置は、米政府との関係悪化や厳しい規制環境への対応の一環としても注目されている。トランプ政権はClaudeのサイバーセキュリティモデルの公開差し止めを指示し、Anthropicは内部ガードレールを突破する改造が懸念されたとして対応を余儀なくされた。また、国防総省はAnthropicの技術を大量国内監視や自律型武器の運用に供さない姿勢を理由に、同社をサプライチェーンリスク指定している。Anthropicはこうした政治的・法的圧力に対処しつつ、年齢制限や州法・各国の規制遵守を徹底するため、生体情報を含む厳格な本人確認体制を整備したとみられる。 検証業者のPersonaについては、米政界の実力者ペター・ティール氏が支援するファウンダーズ・ファンドからの投資を受けており、プライバシー活動家やユーザーから懸念が寄せられた経緯がある。Discordが過去に同社の利用を見直す事態となったように、生体データの扱いと保管期間の不透明さが今後の論点となる。Anthropicはプラットフォームの整合性と安全性を維持するため、今後特定の機能アクセス時に確認プロンプトを表示する可能性が高い。本動向はAI企業が政治的圧力とプライバシー保護の狭間でコンプライアンスをどう構築するかの指標となり、規制当局や他AI事業者の対応に大きな影響を与える見込みである。
