顔認識のメカニズム解明へ新知見 発達性顔認知不能症の脳内機構に迫る
新しい研究により、顔認識障害(発達性顔認知不能症、通称「顔ぼうし」)に関する新たな知見が明らかになった。多くの人々にとって、顔を一瞬で認識するのは自然な行為だが、顔ぼうしを持つ人々にとっては、誰かを識別するという日常的な作業が大きな課題となっている。この障害は、脳の特定領域の機能に問題があることが背景にあるとされ、特に顔の特徴を統合的に処理する能力が著しく低下している。研究では、顔ぼうしを持つ人々が他人の顔を認識する際、細部に注目する傾向があることが明らかになった。つまり、目の位置や口の形といった部分的な特徴に依存し、全体像としての顔を把握する能力が弱い。このため、服装や声、歩き方といった補助的情報に頼らざるを得ず、人との関係構築に困難を抱えるケースも少なくない。一方で、一部の患者は特定の人物(たとえば家族や職場の同僚)に対しては高い認識率を示すことも判明。これは、反復的な接触や強い関係性が補完的な認識戦略として機能している可能性を示唆している。研究チームは、顔ぼうしのメカニズムを解明することで、神経科学的治療や支援技術の開発につなげたいとしている。この知見は、認知の多様性を理解する上で重要な一歩となる。
