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量子コンピュータが104量子ビットでハドロン化を再現

バー클리国立研究所のアンソニー・シアバラレ氏らが、IBMの量子コンピューターを用いて素粒子物理学の重要過程であるハドロン化、特に弦の断裂の数値シミュレーションに成功した。本研究成果は学術誌Physical Review Dに掲載され、古典スーパーコンピューターでは計算が困難な量子色力学の課題解決に向けた量子計算の応用可能性を実証した。 ハドロン化はクォークが強い核力によって結合し、陽子や中性子などの複合粒子となる過程であり、宇宙の物質構造を理解する上で不可欠である。しかし、素粒子衝突実験ではハドロン化直前の状態を直接観測することができず、理論的な記述は存在するものの、古典計算機では必要なメモリと演算量が指数的に膨大になるため、詳細な予測が不可能だった。シアバラレ氏は、量子ビットが複数の状態を同時に重ね合わせられる特性を活かし、量子系の相関やエンタングルメントを自然に表現できる量子コンピューターこそがこの課題を解決すると指摘する。 本プロジェクトでは、QCUPによるクラウドアクセスを通じてIBMのHeronプロセッサーを遠隔操作し、104量子ビットを用いてシミュレーションを行った。計算手法としては、古典QCDシミュレーションで用いられる重クォーク極限の枠組みを取り入れ、クォークの波関数の広がりによる計算負荷を軽減した。また、シアバラレ氏が大学院時代に共同開発したスケーラブル・サーキット同時変分量子ソルバーを用いて、量子系の基底状態である真空状態の準備を最適化。12量子ビット程度での最適化結果をシステムサイズに外挿し、100量子ビット超へのスケーリングを見通した。シミュレーションは計算負荷軽減のため1次元モデルに限定されたが、既存ハードウェアの限界を最大限に引き出す設計となっている。 検証結果は、古典スーパーコンピューターによる従来手法の結果と一致した。特に、弦が切断される有限温度領域で中間部が気体化する現象が再現され、これはQCDの真の特性を示唆する可能性が高い。シアバラレ氏は量子計算機を用いれば、LHCなどの加速器実験における新物理探索のための詳細な予測が可能になると述べる。 今後は、アルゴリズムの高精度化と次世代量子ハードウェアのアクセスを視野に入れ、シミュレーションを2次元に拡張する計画である。本研究成果は、量子計算手法のパイロットラインとして機能し、強相互作用の非摂動領域における科学計算のパラダイム転換を牽引するものと期待される。

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