AIが人工股関節置換術の効果を事前に予測へ
カールスルーエ工科大学(KIT)の研究チームが、人工知能(AI)を活用して大腿骨関節症患者の人工股関節置換術(THR)後の歩行回復状況を予測するモデルを開発した。このAIモデルは、手術前の歩行バイオメカニクスデータを分析し、患者ごとの運動パターンの違いを特定。その結果、患者を3つの異なる歩行パターンに分類でき、それぞれの群が手術後の回復度に明確な差を示したことが判明した。研究は、フランクフルト大学医学部の外傷・整形外科部門と連携し、ドイツ研究財団の支援を受けて行われた。 研究対象は、片側大腿骨関節症の患者109人。手術前と手術後の3次元関節角度と負荷データを収集し、AIによる解析を実施。その結果、年齢、身長、体重、歩行速度、関節症の重症度などに差がある3つのサブグループが特定された。手術後の改善度も群ごとに大きく異なり、一部の患者はほぼ正常な歩行が可能になった一方で、別の群では依然として制限が残った。 研究を主導したKITのベルン・J・ステッター博士は、「AIモデルは、手術の効果を事前に予測し、患者に現実的な期待を伝えるだけでなく、個別化されたリハビリプログラムの設計にも役立つ」と述べる。このモデルは「説明可能」かつ「透明性が高い」とされ、臨床現場での信頼性が期待されている。 現在、ドイツでは年間約20万人が人工股関節を受けるなど、整形外科手術の代表的かつ頻度の高い治療法。しかし、患者間での回復差は明確であり、AIの導入により、より適切な治療選択と個別化医療が実現可能になると期待される。今後は、膝関節など他の関節への応用も視野に入っている。
