AIが心臓移植拒絶反応を生検なしで検出
ニューヨーク大学ランゴン医療センター(NYU Langone Health)の研究チームは、人工知能(AI)を用いて心臓移植後の拒絶反応を侵襲的な生検なしで早期に検出する新手法を開発し、9月25日付の学術誌JHLT Openに発表した。従来の診断ゴールドスタンダードである心筋生検は手術を伴い患者への負担が大きい反面、臓器拒絶の早期発見には不可欠なため、非侵襲的な代替診断法の確立が長年求められてきた。 本研究では、体表から心臓の電気的活動を記録する心電図(EKG)と、血液内のドナーDNA断片や拒絶関連遺伝子活性を検出するバイオマーカーのデータを統合するAIモデルの開発と検証を行った。研究チームは2018年から2024年にかけての患者データを基に学習させ、生検結果とAI予測の整合性を評価した。その結果、EKGと血液マーカーを組み合わせた統合モデルは、拒絶反応が生じていない患者を94%の精度で正確に識別。血液検査単独のモデルでは誤判定により19人が不要な生検を強いられる可能性があったが、統合モデルの適用によりこれらの侵襲的検査を完全に回避できた。 シニアオーサーのリオル・ヤンケルソン博士は、心電図データには生体情報を豊富に内含しており、AIによるパターン認識と血液マーカーを組み合わせることで、拒絶反応の迅速な検出と治療介入の最適化が可能になると指摘した。臓器移植後、拒絶反応は治療時期を逃せば重篤化するリスクがあり、正確なモニタリングは生存率向上に直結する。本手法は血液バイオマーカーと心電図を単一AIモデルで解析し、生検結果と直接比較した初の事例となる。同チームは今後、複数の移植医療センターを対象に臨床規模での精度検証を進める計画であり、非侵襲的なAI診断ツールの実用化は臓器移植管理の負担軽減と医療コストの削減に大きく貢献すると期待されている。
