eスクーター創業者、宇宙データセンターに500万ドル調達
電動スクーター企業Spinの創業者エウィン・プーン氏による宇宙データセンター企業「Orbital」が、a16z主導のシードラウンドで500万ドルの資金調達に成功した。同社は5月にa16zのアクセラレータープログラム「Speedrun」を経て設立され、Basis SetやHuman Elementなど複数の投資家の参画を得ている。本社をロサンゼルスに構え、アマゾンLEOやスペースX、ノースロップ・グラマンの経験者を擁する約12名のチームで運営されている。 OrbitalはAI推論処理の需要増に対応するため、宇宙空間にデータセンターを展開する事業計画を推進する。地球の設置制限や電力インフラの課題を回避し、無制限の太陽光と環境規制の少なさを活かすのが狙いだが、現状の打ち上げコストが採算性の障壁となっている。同社はスペースXの大型ロケット「スターシップ」の商業運用開始を待って本格的な配備を開始する計画だ。既存のフォーク9ロケットでは経済合理性が確立できないためである。 現在Orbitalは、パートナー衛星にNvidia Blackwellチップを搭載し、放射線遮蔽と熱管理技術を実証する準備を進めている。2028年にはNvidia Space-1 Vera RubinクラスのGPUを搭載した初の処理衛星を打ち上げ、段階的な推論ワークロードによる収益化を目指す。最終目標は衛星約1万基によるコンステレーションを構築し、分散ギガワット級のコンピューティングパワーを提供することである。 宇宙データセンター市場にはStarcloudやCowboy Space Company、Blue Originなど複数の企業が参入しており、プーン氏はAI需要の多様性が市場の成長を支えると分析する。a16zパートナーのアンドリュー・チェン氏は、プーン氏のスケールアップ経験が宇宙航空分野の複雑なプロジェクト管理に適合すると評価。長期戦と多額の資本投入が必要になる可能性は否定しないが、資金市場の成熟により長期投資への許容度が高まっていると指摘する。 本件の資金調達は、スペースXのIPOを控える中で、資本集約型宇宙産業に対するベンチャー資本の参画意欲と見識が転換したことを示す明確な指標となっている。
