AIラボ、極高温用3Dプリント合金6種発見
トロント大学エンジニアリングキャンパスの研究チームは、人工知能を活用した自律型材料開発ラボにおいて、極高温環境でも強度を維持する6種類の3Dプリント対応新合金を発見した。同プロジェクトはYu Zou教授が統括し、Ajay Talbot博士課程学生らが中心となって実施。トロント大学アクセラレーションコンソーシアムから支援を受けている。 従来の高性能金属合金はニッケルやコバルトを主成分とするが、設計可能な元素の組み合わせは数万に及ぶため、手動での探索には物理的な限界があった。研究チームは、機械学習とロボット支援製造を組み合わせたアクティブラーニング手法を採用。未知の設計空間をデータリールモデルで効率的に探索し、少数の試料を自動生成・高温特性評価した結果を検索ループにフィードバックすることで、開発サイクルを大幅に短縮した。わずか数週間で、ニッケル・コバルト・クロムの3元素系から実用性が高い6合金に収束させた。 発見された合金は、航空機エンジンや原子力発電所の蒸気発生器など、従来の鋼材が耐えられない極限環境への適用が期待される。特に600度まで耐えうる特性を狙った組成では、ニッケル12%・コバルト62%・クロム26%の合金が業界標準のインコネル625を上回る硬度を達成。1000度に近い高温環境で問題となる酸化スケールには、ニッケル36%・コバルト14%・クロム50%の組成が同基準材料より85%高い耐酸化性を示した。さらに、3Dプリントによる積層製造に対応するため、外殻は硬く強靭、内部は軽量という異種材料構造化の設計も可能となる。 今回報告された三元素系は探索手法の有効性を検証するための第一段階であり、論文は学術誌npj Advanced Manufacturingに掲載された。今後チームは1200度までの耐熱性向上と、10〜12元素からなる複合合金への設計拡張を進める予定。多元素系への適応により、新規強化機構の創出と材料特性の飛躍的向上が期待されている。
