AI で放射性廃棄物用ガラス配方を最適化
米国エネルギー省の太平洋北西国立研究所(PNNL)は、人工知能(AI)を活用して放射性廃液をガラス化する際の化学組成を最適化する新手法を開発し、事業の効率化とコスト削減に成功しました。この研究成果は、4月15日発行の学術誌「Journal of Non-Crystalline Solids」に掲載されました。ワシントン州ハンフォード施設には、マンハッタン計画や冷戦時代に生み出された膨大な量の放射性廃液が地下タンクに保管されており、その組成は周期表の大半の元素を含み、世界で最も複雑かつ多様です。このため、廃液をガラスに封じ込める際、従来の手法では最適な配合を特定することが極めて困難でした。 研究チームは、AIの機械学習モデルを導入することで、数十年にわたる廃液の分析データを活用し、以前には考慮されていなかった新しいガラス配合レシピを大量に生成することに成功しました。従来の数学的方程式に代わり、AI があらゆる元素の組み合わせを試し、どの配合が最も多くの廃液をガラス内に収容できるかを予測します。これにより、ガラス 1 個あたりの廃液含有量(廃液ローディング)を大幅に増加させながら、ガラスの耐久性や処理施設の安全性を維持することが可能になりました。 具体的な効果として、新しいモデルにより廃ガラス柱の総量を約 5% 削減できる見込みです。廃液処理には通常、廃棄物重量の 20% から 30% がガラスに含まれていましたが、新手法では既存の含有量に対して 20% 増えるごとに約 1% ずつ廃液含有率を引き上げることができます。これにより、必要なガラス容器の数が減り、最終処分場の占有面積を縮小できると同時に、プロジェクトの完了までの期間短縮と運営コストの削減が実現します。PNNL のマット・アスムセン氏らは、このプロジェクトが AI を核廃棄物処理に応用する「ジェネシスミッション」の重要な一環であり、科学とテクノロジーの融合によって処理プロセスを加速できることを実証したとしています。
