サム・アルバマン創業の「Orb」開発スタートアップ、社員に「仕事以外は無視せよ」と徹底した働き方を指示
サム・アルトマン氏が共同創業した「Tools for Humanity」は、アイリススキャンによる人間確認技術を持つ「Orb」と呼ばれる球体デバイスを開発しているが、社員に対して極めて過酷な働き方を求める文化を貫いている。同社のCEOであるアレックス・ブラニア氏は、今年1月に実施された全社ミーティングで、「日々の業務以外に気にすべきことは何もない」と明言した。彼は「私たちが失敗したり、平均的な成果を出すつもりはない。それが私たちの目標であり、すべての人に求められる唯一の価値だ」と述べ、仕事以外の関心を持つ者は同社にふさわしくないと断言した。 社内には「週末も働き、常にオンコール」「慢性的な怠惰や快適さに耐えられない」「議論やイデオロギー、政治は不要。感情配慮も時間の無駄」といった価値観が掲示されていた。これらの価値観はブラニア氏自身が作成したと前従業員が証言している。同社は「人間の未来に貢献する」という使命を最優先とし、その達成には「能力・成果・優秀さ」だけが重要だと強調している。また、ブラニア氏はドナルド・トランプ前大統領の就任式に出席したことも公言しており、政治的関心の排除を実践しているとされる。 同社の目標は、AI時代にすべての人々が恩恵を受けられるようにすること。現在の確認ユーザーは約1750万人(目標の10億人の約2%)にとどまり、年内に3000万人、最終的には10億人に達する計画だ。社員にはAIを活用した生産性向上も促されており、ChatGPT Enterpriseの導入が検討されている。さらに、グーグルのAI「Gemini Enterprise」も同社内で利用可能になる予定とされている。 このように、Tools for Humanityは「使命最優先」の極端な企業文化を築いており、これはAT&Tやアマゾンなどでも見られる「ハードコア文化」の延長線上にある。同社の姿勢は、技術革新のスピードと成果を追求するあまり、人間らしさや多様性を犠牲にしかねないという懸念を引き起こしている。
