AIが太陽の磁気構造を解析、数週間先の太陽嵐予測へ向けた画期的進展
スワースウェスト研究機構(SwRI)と米国国立科学財団(NSF)の国立大気研究センター(NCAR)の共同研究チームが、太陽の活動領域を予測するための新AIツール「PINNBARDS」を開発した。この技術は、表面観測データと太陽内部の磁気ダイナミクスをつなぐ物理情報付きニューラルネットワーク(PINN)を活用し、太陽の磁気層における大規模な活動領域の発生を数週間先に予測する可能性を初めて示した。 太陽の活動領域は、磁場が複雑に絡まった領域で、太陽フレアやコロナ質量放出(CME)を引き起こし、地球の通信、GPS、電力網、宇宙飛行士の安全に深刻な影響を及ぼす「宇宙天気」の原因となる。これまでの予測は、発生数時間前に表面で観測される微小な磁気変化に依存していたが、PINNBARDSは太陽の「タコクライン層」——放射層と対流層の境界にある薄い過渡層——における深部磁気状態を、太陽ダイナミクス観測装置(SDO/HMI)の表面データから逆算することで、発生の前兆をより早期に捉える。 研究チームは、2024年2月14日の観測データをもとに、南半球と北半球の歪んだトロイダルバンド(磁気の輪状構造)を再現。PINNBARDSの出力では、赤色の隆起と青色の陥没に磁気ベクトル(黒矢印)が重ねられ、観測結果と一致。さらに、速度場の分布も再現され、活動領域の発生源を理解する手がかりが得られた。 SwRIの若手科学者サブハモイ・チャタジー氏は、「太陽活動領域の発生位置と時期を予測する問題は、ヘリオファイジックスの長年の課題だ」と述べ、PINNBARDSが深部磁気状態の初期条件を提供し、数週間先の予測を可能にすると強調した。NCARのマウスミ・ディクパティ氏(研究リーダー)も、「このフレームワークは、未来の宇宙天気予測の新たな基盤となる」と期待を示している。 活動領域の緯度と経度は、太陽粒子が地球に到達するかどうかを決定するため、PINNBARDSの精度向上は、人工衛星の保護や有人宇宙探査の安全確保に不可欠な進展である。
