AI設計タンパク質がウイルス型ナノケージ形成
韓国・ポハン科学技術大学の李相旼教授と米国ワシントン大学のデヴィッド・ベイカー教授らは、人工知能を用いて天然ウイルスの自己组装原理を模倣した大規模タンパク質ナノケージの設計に世界で初めて成功した。同成果は国際学術誌Natureに掲載された。 既存の設計手法は計算機由来の完全対称構造に依存し、単一タンパク質から構築できるサイズに限界があった。一方、天然ウイルスは単一タンパク質を繰り返しながら局所環境を微妙に調整する準対称性で巨大殻を形成する。研究チームはこの原理に着目し、タンパク質ブロック間の角度と曲率を精密制御するアルゴリズムを開発した。AI構造生成ツールにより、単一タンパク質が組立位置に応じて正五角形と正六角形の環境を同時に占めるよう設計を進めた。 三量体ユニットを基本単位とし、角度を変えて組み合うことで平面ではなく球状殻へ自己组装を誘導した。大腸菌での発現後、低温電子顕微鏡で検証した結果、直径70nmから220nmの球形殻が自発的に形成されることを確認した。最小構造は精密なナノサッカーボール状、最大構造はそれの3倍以上のサイズだった。 既存ウイルスタンパク質を転用せず、AI新規設計の単一タンパク質のみで大規模ウイルス様構造を構築可能にした点に画期的意義がある。実用化すれば標的型医薬品や遺伝子送達システム、ワクチン抗原提示プラットフォームなど医療分野で革新的応用が期待される。今後は核酸などをテンプレートとして用い、サイズ制御の精密化を図る。ベイカー教授を主任著者とする関連論文も同日付けで同誌に掲載され、国際的な注目を集めている。
