新型真菌脅威、イチゴ防御へAI早期検出
北米のイチゴ産地で深刻化する病原真菌ネオペスタロチオプシスへの対応に、NC州立大学がAI活用型早期診断技術の開発を加速させている。同菌は2017年にフロリダで拡大し2022年にノースカロライナ州に定着した。定植時は無症状で潜伏するため、圃場で突然株が崩壊する被害が相次ぐ。エーカーあたり2万ドルから3万ドルの投資が失われる経済的打撃が産業を揺るがしている。NC州立大学はホフマン准教授らを中心に、不感染苗の園内栽培と耐病性品種の選抜育種を推進。従来の化学防除に頼る管理から、統合防除管理プロトコルへの転換を進めている。技術革新の中心には、アルグエロ=ミランダ准教授らが開発中のマイクロ流体チップとコンピュータビジョンを組み合わせた非破壊検出システムがある。従来法では検出限界を下回る低濃度感染でも、AIアルゴリズムが菌糸の伸長や胞子の発芽をミリ秒単位で追跡同定する。この手法は植物残渣や土壌混入サンプルでも特異的な判別が可能で、検出から計測まで従来技術の二十分の一の時間で完了する。研究チームはスマートフォンのカメラ機能と連携する携帯型顕微鏡の実用化を目標に据える。育苗施設で感染リスクを即時把握し、殺菌剤散布のタイミングを最適化することで、生産損失を最小限に抑える実用化が期待される。専門家は分子診断ツールの進化と耐病性育種の進展が長期的な産地再生を支えると指摘。短期的な防除コスト増と労働力不足は課題だが、学術論文の相次ぐ公表が示す通り、産学連携と継続的な資金投入が病害管理の新たな基準を確立すると判断している。技術革新が北米イチゴ産業の持続可能性を左右する。
