AI支援、米粉じん労働者220万人の肺スクリーニング加速
米国で有毒粉塵に曝露する労働者約220万人の早期肺疾患スクリーニングを支援するAIツールが、ミシガン州立大学(MSU)の研究チームによって開発された。石炭採掘者や建設作業員、造岩加工従事者らは日常的に微細な粉塵を吸い込み、長期間の曝露により肺に不可逆的な線維化を引き起こす黒色肺やケイ肺のリスクに直面している。早期発見は労働者の健康保護と職場環境の改善に不可欠だが、米国には胸部X線写真を専門的に診断する認定Bリーダーが僅か200人しかおらず、診断待ちの深刻な人手不足が課題となっていた。 MSUの研究陣は、米国人労働者のX線画像データセットを用いて専門向けAIを訓練し、この課題解決を図った。このAIは人間の医師の補助役として機能し、正常な画像の約半数を自動的に振り分けることで専門家の負担を軽減する。初期の肺線維化斑点の検出では91%の精度を達成し、人間の平均77%を大幅に上回った。診断支援画面には早期損傷部位をカラーマップで可視化する機能も搭載され、微妙な初期兆候を見逃すリスクを低減する。研究論文は学術誌Occupational and Environmental Medicineに掲載された。 粉塵による肺損傷は10〜20年かけて進行するため、症状が出る前の早期スクリーニングと危険環境からの移動が最善の対策となる。本AIツールは診断の迅速化と標準化により、労働者の早期介入を可能にし、職場の換気改善や適切な医療・補償アクセスを促進する。研究チームは現在、米国立職業安全衛生研究所(NIOSH)と連携して、本技術を現場で広く活用できるアプリケーションへとパッケージ化する作業を進めている。これにより、粉塵曝露労働者の健康監視体制が強化され、産業衛生分野におけるAI実装の新たな標準となる。
