オープンソースAIがペプチド特性を予測
米ペンシルベニア大学工程学院のChatterjee研究チームは、ペプチド医薬の創薬プロセスを効率化する人工知能プラットフォーム「PeptiVerse」を開発し、学術誌『Nature Communications』に発表した。本プラットフォームは、ペプチドの溶解性、細胞透過性、毒性、体内安定性など、創薬に不可欠な複数の物性を実験合成前の段階で高精度に予測する機能を提供する。 チームは従来文献で散在していた実験データを一元化し、各物性予測タスクに応じて最適な機械学習モデルを選択するアーキテクチャを採用した。従来のプログラミング依存のツールと異なり、専用Webインターフェースにより視覚的に直感的に操作可能で、実験系研究者の活用ハードルを大幅に低減している。また、予測根拠となる訓練データへのアクセスも可能にし、モデルの解釈性を高めている。 PeptiVerseは既存ペプチド候補の優先順位付けスクリーニングツールとして即座に活用できる。さらに、新規ペプチド構造を設計する生成AIと連携させることで、創薬探索サイクルそのものを最適化する用途も展開される。毒性や親和性などの望ましい特性を初期段階でフィルタリングすることで、高コストな試薬合成と生体実験の回数を劇的に削減できる。 同プラットフォームはオープンソースライセンスで公開され、学術機関や製薬企業が新たな実験データやアルゴリズムを追加することで継続的に性能を拡張できる設計となっている。Chatterjee教授は「ペプチドの化学的探索空間は膨大であり、単一研究室での網羅は不可能だ。コミュニティ主導でデータとモデルを共創し、次世代ペプチド医薬の開発を加速させる基盤となる」と強調している。これにより、GLP-1作動薬をはじめとするペプチド医薬の創薬パイプラインが、より効率的で予測可能なものへ転換する可能性がある。
