AI 搭載顕微鏡が細胞内をリアルタイム・高画質動画で捉える
カリフォルニア大学サンディエゴ校の工学部チームは、人工知能を活用した新しい顕微鏡技術を開発し、生きた細胞の内部活動をリアルタイムで高解像度で観察できるようになりました。この成果は科学誌『Nature Communications』に発表され、従来の技術よりも 2 倍高い鮮明度で滑らかな動画撮影を可能にします。この技術は「構造化照明顕微鏡(SIM)」を基盤としており、パターン化された光をサンプルに照射して画像を合成する手法ですが、既存のシステムは精密な較正が必要だったり、処理が遅かったりという課題がありました。 チームを率いる劉朝威教授らは、光学物理学の原理と AI を融合させた「展開ブラインド SIM(UBSIM)」という新アルゴリズムを考案しました。この手法はハードウェアの要件を簡素化しながら、画像再処理速度を数百倍から数千倍に向上させました。その結果、科學家らは画像処理の完了を待たずに、データが取得され次第、詳細な映像を即座に確認できるようになります。特に重要な点は、従来の AI モデルに見られるような、存在しない構造を妄想的に生成するハルシネーションやアーチファクトの問題を排除していることです。光学の物理法則に組み込むことで、観測される細胞内の構造が実際に存在するものだと科学者が信頼できるようになり、研究の精度が担保されています。 実験では、UBSIM を用いて内小体などの細胞構造の急速な変化を毎秒 50 フレームの解像度でリアルタイムに映像化することに成功しました。これにより、超高解像度顕微鏡が従来の光学顕微鏡と同様の使いやすさを実現し、研究現場での実用性が飛躍的に高まっています。劉教授は、この技術がユーザー体験を大幅に改善し、生命科学分野での発見を促進するだろうと述べています。今後、この技術は日常的な研究現場での標準的なツールとして普及する可能性を秘めています。
