新AIがRNA構造解析でAlphaFold3に匹敵する
バージニア工科大学の計算機科学者チームは、RNAの三次元構造予測においてGoogle DeepMindのAlphaFold 3に匹敵する新AI手法RNAbpFlowを開発し、学術誌Nature Methodsに発表した。同手法は従来のAIが多数の進化系統に基づく配列データベースを必要とするのに対し、実験データと生成モデルの知識を活用してデータ依存度を大幅に低減している。非公開ベンチマークテストにおいて、RNAbpFlowは14種のRNA標的のうち12種で正しい全体構造を達成し、AlphaFold 3の8種を上回る性能を示した。開発チームを率いた博士課程学生のSumi Tarafder氏と副主任研究員のDebswapna Bhattacharya氏は、この手法がフローマッチングと呼ばれる生成AIの技術を応用し、配列情報と塩基対のみからノイズ状態を開始点として完全な全原子レベルの三次元構造を一括生成していると説明する。これにより分子の動的な変化も捉えやすくなる。 RNAは構造が柔軟でデータベースへの記載が不足しており、構造予測の難しさから標的型創薬の障壁となってきた。RNAbpFlowの高精度な構造解析は薬剤結合ポケットの特定を可能にし、脊髄性筋萎縮症治療薬のようなRNA直接標的型薬剤の開発を加速させる。神経変性疾患やがん、ウイルス感染症などへの応用が期待される。一方で、大規模で複雑なRNA構造では進化データに基づく既存サーバーに軍配が上がると指摘されている。ただし関連配列が稀なRNAを対象とするケースでは本手法の優位性が明確だ。チームは研究結果を全ソースコードと共に公開し、再現性と公衆衛生への貢献を重視している。今夏開催される世界構造予測コンペCASPへ改良版を提出する予定であり、全米衛生研究所と全米科学財団の支援により推進されている。
