OpenAI、動画アプリで「cameo」使用を一時停止 商標権を巡りトラブルに
OpenAIが展開するAI動画生成アプリ「Sora」に搭載された機能「Cameo」が、商標権の問題で法的トラブルに巻き込まれている。この機能は、ユーザー自身やペット、物など、実際の人物や対象をAIで再現し、動画に登場させるもので、TikTok風の体験を提供する点が特徴だ。しかし、同名の個人動画サービス「Cameo」が2025年10月28日、カリフォルニア州連邦裁判所に提訴。OpenAIが「Cameo」という名称をAIアプリで使用していることについて、商標権侵害を主張した。Cameoは、有名人がユーザー向けにカスタム動画メッセージを提供するサービスとして知られ、特に年末の贈り物シーズン(11月から12月)に利用が急増する。同社CEOのスティーブン・ガラニス氏は、Soraの使用が自社ブランドの混乱を招き、重大な損害を及ぼしていると訴え、迅速な対応を求めた。 2025年11月21日、米国連邦裁判所のユミ・K・リー裁判官は、OpenAIに対し「Cameo」および類似の表現の使用を一時的に禁止する仮処分命令(TRO)を下した。この命令は2025年12月22日午後5時まで有効で、12月19日に永久的禁止の可否を審理する公聴会が予定されている。リー裁判官は、OpenAIがCameoの登録商標を侵害している可能性が高いと指摘。OpenAIの主張「この名称の使用がSoraの成功に支障を来す」に対して、「自らの商標侵害がもたらす損害である」と明言。つまり、OpenAIの法的リスクは自らの行為に起因するとして、禁止措置の正当性を認めた。 一方、OpenAIは「『Cameo』という言葉の独占的使用権は誰にもない」と反論。同社広報は「単なる一般用語としての『Cameo』(客演)の使用は、商標権の対象外」と主張。しかし、Cameo社は、自社が「Cameo」という名称を長年にわたり商標登録し、広く認知されたブランドとして確立している点を強調。同社は、裁判所の仮処分決定を「消費者の誤認を防ぐ必要性を認められた」と歓迎。また、11月から12月にかけてCameoの30%の動画が作成されるという季節的特徴を挙げ、時間の経過がブランドに深刻な損害をもたらす可能性を訴えた。 この事態は、AI企業が新機能名に用いる言葉の選定に、既存の商標やブランドの存在を無視できないことを示している。Soraの「Cameo」機能は、技術的革新の象徴であると同時に、知的財産の境界が曖昧なAI時代の課題を浮き彫りにしている。今後、12月19日の公聴会の結果が、AI企業のブランド戦略や、一般語の商標化のあり方を再考させる可能性がある。
