数学とAIの融合で新発見を加速する
米国PNNLのヘンリー・クビンゲ氏らが、数学とAIの融合研究を推進している。同氏はLeanのMathlibライブラリを用いた数学的命題のテキスト埋め込みによる「数学の地図」を作成し、組合せ論をAI学習の基盤に据えている。2025年ICMLワークショップにて発表された研究では、大規模言語モデル(LLM)の内部計算が人間と共有する「数学的ワールドモデル」の程度を分析。LLMは膨大な解答を暗記する傾向にあり、人間が公理や定理に基づく厳密な論理展開を行う点との差異が浮き彫りになった。 学界連携の推進にも力を入れる。未解決予想を記録するデータベース「OpenConjecture」の公開に加え、創設した数学・AIコミュニティ「TAG-DS」は2025年12月1〜2日、カリフォルニア大学サンディエゴ校で初の大規模会議を開催。機械学習トップ会議NeurIPS 2025と並行配置し、分野横断的なネットワークを強化した。今後は2026年8月にノースイースタン大学で会議を継続し、PyTorch互換の数学アプローチ適用ライブラリ「TAGTorch」をDOEのSciDACプログラム下で開発中だ。PNNLは米国エネルギー省のGenesis Mission参画機関として、AIが単なる計算ツールを超え、研究者に新たな理論的洞察をもたらすことを見据え、両分野の協業による科学発見の加速を図っている。
