AI 救急部門導入、強力だが未だ実証不足
科学誌に掲載された新しい研究によると、人工知能は米国のボストンにある病院の救急記録に基づき、患者の診断において医師を上回る精度を示しました。特に患者が最初に到着するトリアージの段階では、AI は正解またはそれに近い診断を 67% のケースで特定しました。これに対し、比較対象とした 2 人の医師はそれぞれ 50% と 55% の正答率にとどまり、情報が不足し不確実性が高い初期段階で AI の優位性が際立ちました。大規模言語モデルが医師国家試験に合格できること自体は以前から知られていましたが、実際の臨床現場での実用性が証明されたのは本研究が初めてです。しかし、この AI は医師のような対人観察や身体的診察を行わず、書面情報に基づいて評価を下すだけであり、実際の医療行為を行っているわけではありません。また、診断候補のリストを提供することと、患者のアウトカムを改善することの間には大きな隔たりがあり、過剰な検査や治療、医師の過信を招くリスクも指摘されています。さらに、学習データに公的な症例が含まれている可能性があり、発表された数値にはある程度の懐疑的な見方が必要です。英国の医師会による調査では、医師の 16% が毎日、15% が週に一度 AI ツールを臨床現場で使用しているとされており、規制や責任所在、安全性の確保が整う前に実装が進んでいます。人間が監視する体制の整備は必須ですが、単に「人間をループに含める」という表現だけでは不十分です。どの人間が、どのような権限で、どのような状況で介入するかを明確にする必要があります。本研究は着実な進歩を示していますが、医療慣行を根本から変えるものではありません。AI を禁止するか無批判に導入するのではなく、リアルな臨床環境で実験的に対照的にテストし、臨床判断の代替ではなく第二の意見として支援機能を持たせ、患者にとっての安全で迅速なケアの実現を指標に評価すべきです。
