AIが診療録を解析、構造化データにない情報を抽出
RespondHealthらは医師の自由記述である診療ノートから大規模な医療データを抽出するAIシステムを開発し、その検証結果を医学雑誌Nature Medicineに発表した。本システムは電子カルテに保存された非構造化テキストを解析し計算可能な構造化データに変換すると同時に、抽出された各事実を元の文中の特定箇所へ厳密にリンクさせる技術を採用している。独立した医療機関の認定医師が複数段階でレビューを実施した結果、正確性と網羅性を合わせた総合スコアで99.4%を達成した。これは医師間合意率の94.7%を上回る水準であり、120症例のレビューに医師が約70時間を要したのに対しシステムは数秒で処理を完了した。実証応用としてGLP1受容体作動薬のリアルワールドデータを解析した結果、基礎血糖値が高い患者ほど血糖改善度が大きく逆に正常群は体重減少幅が顕著であった。また女性や20代後半で体重減少がより大きく抑うつや疼痛スコアも基盤値が高いほど有意に改善する傾向が観測された。本研究の最大の影響は従来のコード化データで捕捉できなかった見えないデータの可視化にある。解析対象の血糖値70パーセントと投与エビデンスの3分の1は自由記述からのみ抽出可能であり構造化データのみでは除外されていた症例が分析に組み込まれた。本技術は透明性とトレーサビリティを確保しながら非構造化テキストの価値を再評価しリアルワールドエビデンス研究の新たな基準を形成すると期待されている。
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