複製卷轴焼成、X線CTで古代文字解読
ヘラクラネウム図書館の炭化巻物(紀元前1世紀)を、非破壊のX線CTとAIで解読する新手法が開発された。カリフォルニア大学バークレー校のドグラス・セイラー氏らは9月16日付『PLOS ONE』で、古代インクに微量の鉛が含まれる場合、スキャンコントラストが25倍向上し仮想展開が実用的になることを実証した。 同氏らはパピルスと鉛添加インクでモデル巻物を作成・炭化させ、国立標準技術研究所(NIST)の3次元X線CTで計測した。鉛含有量25μg/cm²でも明瞭な文字輪郭が検出され、手持ち型蛍光分析装置で現物の鉛含有を迅速スクリーニング可能と結論づけた。この発見はブレント・シーズル氏らが推進する「ヴェスヴィオチャレンジ」の基盤を強化する。同チャレンジは2023年からAIを活用した巻物の仮想展開とテキスト解読を進め、すでにエポキュア派哲学文献の解読に成功している。鉛による高コントラストは、機械学習モデルの精度向上と解読速度の加速に直結する。 バークレー校の専門家は、インク中の金属元素が著者や年代の特定にも寄与する可能性を指摘する。乾燥気候の遺跡から出土した同年代パピルスには鉛や銅含有の傾向があり、ヘラクラネウムの巻物にも同様の成分が分布していると見られる。本手法は文化財を一切損なうことなく、紀元79年に凍結された古代の知的遺産を復元する枠組みを提供する。学界は、失われた古典文学史の再構築と、AI・イメージング技術の学際的応用の新たな标杆となると評価している。
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