Amazon、新開発の多腕型ロボット「Blue Jay」をわずか数か月で中止
アマゾンは、昨年10月に発表した多腕型倉庫ロボット「ブルージェイ」をわずか数か月で稼働停止にした。同ロボットはカリフォルニア州ミルピタスの同社倉庫で導入され、同社の即日配送拠点向けに開発された。しかし、1月には実質的に運用終了し、開発に携わった多くの従業員が他のロボット開発プロジェクトに異動された。アマゾンのスポークスパーソン、テレンス・クラーク氏は、ブルージェイの核心技術は今後、同社の複数の倉庫システムに活用されると説明した。ブルージェイは、ロビンやスパローなど既存のロボットと比べて開発期間が短く、AIの進化を活用して訓練を高速化したが、実用化には課題が多かった。 内部では、高コスト、製造の複雑さ、設置と運用の難しさが主なネガティブ要因とされた。ブルージェイは天井に設置された構造で、複数のアームで同時に複数の荷物を扱う設計だったが、実際の現場では柔軟性に欠け、運用コストが見合わなかった。そのため、アマゾンは戦略を転換。旧来の「ローカルベンディングマシン(LVM)」と呼ばれる一体化型システムから、モジュール式の新システム「オービタル」へと移行している。 オービタルは、複数の部品を組み合わせて構築できるため、設置場所や規模に応じた柔軟な展開が可能。小規模な即日配送拠点や、ウォルマートとの差を埋めるための冷蔵品対応も想定されており、ウォルマートのスーパーマーケット「ウォールマート・フード」の店舗内に設置するマイクロフルフィルメント拠点としても活用される可能性がある。初のオービタル型拠点は2027年までに稼働予定とされ、アマゾンの即日配送戦略の再編の中心となる。 ブルージェイの失敗は、AIを活用した物理世界のロボティクス開発が、デジタル領域のAIほど進んでいないことを示している。大量の訓練データが得やすいデジタル環境と異なり、現実世界でのロボット運用には実環境データの収集や、物理的制約への対応が難しく、コストパフォーマンスの実現が極めて困難である。アマゾンは依然としてロボット技術への投資を続けるが、実用化の道のりは依然として険しい。
