Netflixが生成AIに本格参入、視聴者争いは激化。コ・CEOはAIとの競合に懸念を示さず。
Netflixが生成AIの活用を進める中、業界全体の関心が高まっている。同社は2024年第二四半期の決算報告で、AIの進展を「効果的に活用できる非常に良い立場にいる」と明言。CEOのテッド・サランドス氏は、AIをコンテンツ制作の中心とするのではなく、クリエイターの生産性を高める「ツール」として位置づけている。彼は「素晴らしい作品を生み出すには、優れたアーティストが必要だ。AIはその力を補強するが、物語の才能を自動的に与えるわけではない」と強調。これは、AIが創造性を代替するのではなく、人間のクリエイティブな力を強化するという立場を明確にしたものだ。 実際、Netflixはすでに複数の作品で生成AIを実用化している。アーゲンチン制作のドラマ『ザ・エターナウト』では、建物の崩壊シーンをAIで生成。『ハッピー・ギルモア2』では、アダム・サンドラー主演のキャラクターを若々しく見せるためにAIによる「デエイジング」を採用。また、『ビリオネアーズ・バンカー』では、プロダクションの初期段階で衣装やセットデザインのイメージをAIで可視化するツールとして活用している。これらの事例は、AIが視覚効果や予算・時間の最適化に貢献していることを示している。 一方、AIの発展は業界に懸念をもたらしている。特に、大手AI開発企業OpenAIが発表したSora 2は、歴史的人物や俳優の偽造映像を生成する可能性を含み、SAG-AFTRAや俳優のブライアン・クランストンらが「強力な守備策」の導入を求めるまでに至った。このような懸念は、AIが人間のアーティストの仕事に直接影響を及ぼす可能性を示唆している。しかし、サランドス氏は「AIが創造性を置き換えるとは考えていない」と明言。彼は、AI音楽が長年存在しても、トレイリー・スウィフトのような人気アーティストの需要は依然として高いと例え、AIは「音楽の方向性を広げる道具」にすぎないと説明。同様に、映画やテレビの分野でも、AIは「物語をより良く、速く、新しい方法で語る」ための支援手段にすぎないと位置づけている。 Netflixの第2四半期の売上は前年比17%増の115億ドルに達したが、予想を下回った。同社は今後、AIを広告やコンテンツ制作の分野に投資する方針を示しており、15年以上にわたり一貫した戦略を維持していると強調。AIの活用は、人間のクリエイターの力を補完する「協働」のあり方を模索する中で、業界の未来を形作る重要な一歩となっている。
