アジリティが上場へ、収益化は険しい
米オレゴン州を拠点とするヒューマノイドロボット開発企業アジリティ・ロボティクスは、シティグループ元幹部マイケル・クライン率いる特殊目的買収会社チューチル・キャピタル・コーポレート11との合併を完了し、米ナスダック市場で上場を開始する。米国のヒューマノイドロボット専業企業として初の株式公開となる。 合併前の既存株式評価額は約25億ドルで、費用控除前調達額は約4億6500万ドルを見込む。一方、開示資料では前年の売上高が180万ドル、純損失が1億3810万ドルに上った。売上の過半は、ある投資家による5台の購入に基づくなど収益基盤は小さく、純損失のうち3800万ドルは従業員株式報酬などの非現金費用だが、事業運営には9980万ドルの現金支出を要した。 同社は二足歩行ロボット「ディジット」をアマゾン、トヨタ、ジーエックスオーなど9か所の顧客施設で運用し、アマゾン、フォックスコン、エヌビディア、ソフトバンクなどを出資先に持つ。ペギー・ジョンソン最高経営責任者は、先頭企業として顧客が必要とする指標を策定できる点を意義として挙げる。 同社は、安全柵なしで人の近くで稼働できるよう設計した新型「ディジット5」を成長の柱にする。単一顧客から、3年間利用を前提に1000台、3億ドル超の注文を受けたが、期限と性能要件を満たすことが条件だ。納品は2027年前半、一般提供は2027年末を見込んでいる。 市場評価では、フィギュアが約390億ドル、アプトロニクが約55億ドル、ニューラ・ロボティクスが約70億ドルなどとされる一方、実機を納入するアジリティの評価は低い。テスラも独自開発を進めるが、単独評価は示されていない。中国勢がヒューマノイド出荷の大半を占める中、米当局は7月に外国製高度ロボットの輸入制限を導入した。アジリティはオレゴン州で製造しており、米国の優位確保に向けた試金石ともなる。今回の公開は、公的市場がヒューマノイド事業をどう評価するかを示す基準となる。
