Pythonで学ぶ稀少イベントの時系列モデリング:極値分布の実践ガイド
この記事では、Pythonを用いた稀発イベント(極端値)の時系列モデリングについて解説している。著者であるPiero Paialunga氏は、データサイエンスの現場で「大きな値はただの外れ値で、まれにしか発生しない」という発言を何度も耳にしてきたと述べ、そのような外れ値を単に無視するのではなく、むしろ意味のある信号として捉えるべきだと主張している。特に気象データのような時系列では、極端な高温や低温は実際に都市のエネルギー消費や災害リスクを示す重要な情報であり、単なる「異常値」として扱うのではなく、統計的に分析する価値がある。 記事では、複数の都市の気温データ(ケルビン単位)を扱い、各都市ごとに時系列データを取得。極端値を検出する方法として、ブロック最大値法(Block Maxima) を採用。具体的には、日単位のウィンドウで毎日の最高気温を抽出し、その極値の分布を分析している。このアプローチにより、データのスケーリングや欠損値処理、日付の分解といった前処理も自動化されている。 極端値の分布モデルには、一般化極値分布(GEV)、Gumbel分布(GEVの特殊ケース)、ワイブル分布を用意。それぞれの分布の適合度を評価するため、対数尤度、AIC(赤池情報量基準)、BIC(ベイズ情報量基準)を計算。結果として、都市ごとに最適な分布が異なることが判明。例えば、ダラス、ピッツバーグ、カンザスシティはGEV、ニューヨークはワイブル分布が最も適していることが示された。 さらに、Q-Qプロットを用いた可視化により、モデルの適合度を定量的に確認。標準的な正規分布では極端値の歪みを捉えられず、極値分布モデルの必要性が明確になった。 この手法の意義は、極端値を「無視する」のではなく、「理解する」ことで、異常状態の予兆を早期に検出できる点にある。特にエネルギー、金融、気象などの分野では、極端な値が実際のリスクや現象を反映しており、その統計的性質を把握することはシステムの信頼性向上に直結する。 著者は、このアプローチをGitHubで公開しており、誰でもコードとデータを活用して再現可能。AIや機械学習の応用においても、単なる「外れ値除去」ではなく、稀発イベントの背後にある意味を掘り下げる姿勢が求められている。
