OpenAI、1000億ドル調達へ 収益化の行方と市場の厳しい視線
OpenAIの収益化への道筋を巡り、投資家やアナリストの間で意見が分かれている。同社は2024年時点で130億ドルの売上高を記録しながら、1.4兆ドルに及ぶ支出計画を掲げており、その財務状況に懸念が集まっている。1000億ドル規模の新規資金調達を検討する一方で、収益が支出を追いかけられないリスクが指摘される。特に、従来の予想を大幅に上回る1150億ドルのキャッシュ消費見通し(2029年まで)が、The Informationが報じたことで、財務の持続可能性が問われるようになった。 一部の投資家は警戒を示す。New Vintage Partnersのチャールズ・ジャスケル氏は「収益化の道筋が不透明」とし、投資を回避する考えを表明。Fidelityの元マネージャーであるジョージ・ノーブル氏はOpenAIを「現金の焼却炉」と表現。デュッセルドルフ銀行の分析では、2024~2029年の累計損失が1430億ドルに達し、史上最大のスタートアップ損失になると予測。HSBCも2030年までに2070億ドルの資金不足が生じると指摘している。 一方、OpenAIとその支援者たちは、巨額の支出が戦略的必要性であると主張する。CFOのサラ・フライアは、計算能力(compute)の不足が収益化を阻害しているとし、現在の1.9ギガワットから3年以内に14ギガワット規模まで拡大する計画を明らかにした。Khosla Venturesのイーサン・チョイ氏は、1.4兆ドルの支出のうち約6000億ドルがOpenAI自身が負担するものであり、残りはパートナー企業がデータセンターを建設する形でカバーされると説明。1ギガワットあたり年間100億ドルの収益が見込めるとして、1400億ドル規模の年間収益を達成可能と見ている。 しかし、競争環境の急激な変化がリスクを高めている。GoogleのGeminiや中国発のオープンソースモデルがコスト・性能面で急速に追い上げており、技術的優位性が縮小している。Anthropicも開発者向けツールで強みを発揮。さらに、OpenAI自身が「コードレッド」を宣言して事業の再集中を図った後、検索・EC・広告・ロボット・独自チップ開発など多角展開に再び進むなど、戦略の方向性が揺らぐことも懸念材料。 IPOの可能性も浮上しているが、市場の競争は激化。Elon MuskのxAIとSpaceXの合併、Anthropicの上場検討など、同業他社の動きがプレッシャーとなっている。最終的に、OpenAIの価値はモデルの優位性よりも、資本の使い方の成熟度にかかっている。投資家らは「多くのことがうまくいかなければ、巨額の損失が発生する」と警鐘を鳴らしている。
