両AI研究者、Googleを相次いで退職
6月20日、Google DeepMindから核となるAI研究者2人が48時間以内に相次いで退職を発表した。ノーベル化学賞受賞者のジョン・ジャッパー博士と、Transformerアーキテクチャの共同著者かつGeminiモデル共同責任者のノア・シャゼール氏である。 ジャッパー氏はDeepMind在籍中の約9年でタンパク質構造予測AI「AlphaFold」の開発を主導し、高精度かつ短時間での解析で生物医学研究の常識を書き換えた。その功績は約2億構造の公開や190カ国以上の科学者に活用され、CASPコンペ優勝やノベル賞受賞に繋がった。ジャッパー氏は同社を離れ、生命科学研究へAIを本格導入するAnthropicへ移籍する。Anthropicは今年春にバイオスタートアップを買収するなど計算生物学分野に投資を加速しており、同氏の加入で新分野でのAI応用が一段と強化される見込みだ。 同日、シャゼール氏は「Attention Is All You Need」の共著者として大規模言語モデルの基盤を築いた実績を持ち、過去に同社へ巨額の報酬で復帰したものの、再びOpenAIへ去った。両氏の相次ぐ流出は、DeepMindが抱える人材流出傾向を浮き彫りにしている。社内からはAI開発戦略の曖昧さや組織の重厚さへの不満が指摘されており、明確な製品ロードマップと少人数での集中型開発環境を提示する新興AI企業へ人材が流れている。 今やAI研究の主導権争いは、報酬提供を超え「組織文化と戦略の明確さ」を巡る人材獲得戦へと様変わりしている。Googleをはじめとする既存テック企業は、革新の原動力であるトップ研究者の維持に苦戦しており、その動向は次世代AI開発の方向性と産業構造の変革を左右する重要指標となっている。
