脳波BCIが患者の潜在意識を検出
バス大学(英国)の研究チームは、意識障害や閉鎖性症候群の患者において外部に表れない潜在意識を、脳コンピュータインタフェース(BCI)技術を用いて検出する診断法を開発し、学術誌Communications Medicine(2026年)に発表した。従来の床旁評価では身体機能の制限により意識の有無を見逃すケースが40%に上る課題を踏まえ、本システムはウェアラブルEEGヘッドセットで脳波を計測し、左手や両足の想像運動に対応する神経パターンを読み取る。 研究の核心は、単発評価にとどまらない構造化された複数セッションのプロトコルにある。参加者は訓練を通じて意図的に脳信号を変化させる方法を習得し、リアルタイムの聴覚フィードバックにより自身の精神戦略を調整した。このプロセスを繰り返すことで脳反応の明確化と一貫性が向上し、段階的にYESまたはNOの二択質問へ移行できるまでの信頼性を確保した。 英国NHS施設およびアイルランドの臨床拠点で17歳から73歳の42名を対象に試験を実施した結果、複数セッションによる訓練とフィードバックの組み合わせが、潜在意識の検出率と患者の関与度を顯著に高めたことが実証された。単一セッションでは検出が困難だった微細な脳活動パターンも、系統的な評価を重ねることで明確な信号へと変容した。 筆頭著者のNaomi du Bois准教授は本手法が床旁評価を補完し潜在意識の早期発見を可能にすると指摘し、主任研究者のDamien Coyle教授はリアルタイムフィードバックを伴う本フレームワークが臨床環境や在宅ケア施設でも運用可能であり、意識検出の信頼性を根本的に強化すると強調した。 同技術は、運動機能や発語を失った患者の診断精度向上に加え、音声や動作に依存しない新規コミュニケーション手段の基盤となる可能性を秘めている。今後、臨床現場への実装と在宅モニタリングへの展開が期待され、意識障害の診断基準とリハビリテーション計画の抜本的見直しに貢献する見込みである。
