グーグル、炭素回収付きガス発電所に400MW分の電力を買い取りへ
グーグルが、環境負荷の高い化石燃料プロジェクトに参加する動きを進めている。同社は、イリノイ州に建設される400メガワット規模のガス火力発電所「ブロードウィング・エネルギー・センター」の開発を支援する契約を締結した。この施設は、排出された二酸化炭素(CO₂)を捕集し、地下1マイルの深さに永久的に貯留する「炭素回収・貯留(CCS)」技術を導入する。グーグルは、2030年に稼働する予定のこの発電所から発電される「大部分」の電力を購入する予定で、CCS技術の実用化と市場展開を支援する狙いがあると説明している。 理論上は、CO₂を大気中に放出しないことで気候変動の悪化を抑える可能性がある。しかし、実際のCCS技術は技術的・経済的課題に直面しており、米国政府の監査機関(GAO)の調査では、2021年時点で約6億8400万ドルが投じられたCCSプロジェクトのうち、6件のうち1件しか稼働に至らなかった。また、CCSを備えた発電所の電力コストは、太陽光や風力、あるいは従来の石炭・ガス発電よりも1.5~2倍以上高くなるとされる。 グーグルが支援するプロジェクトの特徴は、石炭ではなく天然ガスを燃料とし、CO₂を販売するのではなく、地元の地下に貯留すること。同社は、発電所が排出するCO₂の約90%を永久的に封じ込められると主張している。しかし、ガス火力発電はメタン(CH₄)の漏洩を伴い、メタンはCO₂よりも20倍以上強力な温室効果ガスである。また、発電所は他の大気汚染物質も排出し、周辺住民の健康に影響を及ぼす可能性がある。 こうした問題を無視して、グーグルはAIの拡大に伴うデータセンターの電力需要を満たすため、CCSを「クリーンエネルギーの橋渡し」と位置づけている。一方、トランプ政権下では再生可能エネルギーへの支援が縮小され、CCSへの支援は維持されている。この背景には、化石燃料産業への政治的関与が深まりつつある現実がある。グーグルの取り組みは、短期的なエネルギー需要の充足と、長期的な脱炭素化の両立を求める企業のジレンマを象徴している。
