アントロピック、ホワイトハウス協議でFable 5アクセス再開
エントロピックはトランプ政権との輸出規制をめぐる協議を経て、主力AIモデルFable 5およびMythos 5の利用制限を解除し、利用者のアクセスを再開すると発表した。同社は声明で商務省から規制撤廃通知を受領したことを確認し、翌日より復旧を実施すると明言した。 制限の発令は先月12日だった。トランプ政権はFable 5の潜在的な出力制約回避リスクを理由に、外国人を含む一切の利用を停止するよう指示。エントロピック側はこれが機能の誤認に基づく措置だと主張し、ワシントンD.C.でホワイトハウスおよび関係省庁と緊急協議を実施。その結果、規制が解除される運びとなった。 今回の一連の動向は、先進AI企業と連邦政府の緊張関係を示す事例となっている。昨年3月、国防総省はエントロピックをサプライチェーン上のリスク源に指定。同社はこれに不服として政権を提訴しており、訴訟は係争中である。さらにMythosシリーズはセキュリティ脆弱性の探索能力が高すぎるため、当初は限定企業向けに公開を控えるなど、政府や企業からの監視が非常に厳しくなっている。 規制緩和の背景には、エントロピックのIPO準備という企業戦略の推進も影響しているとみられる。同社は今年6月、S-1登録効果文書の草案を非公開で提出し、年内の上場を目指す構えを見せる。トランプ大統領が先頃署名したAI関連行政命令では、先進モデルの公開前に政府による30日間の事前審査を任意で受け入れる枠組みが打ち出されており、業界全体のコンプライアンス環境が急速に変化している。 エントロピックは今後、アクセス復旧の詳細と新たなセキュリティ対策を順次公開する予定だ。AIモデルの輸出規制をめぐる今回の解決は、技術革新と国家安全保障のバランスをどう調整するかという連邦政府の課題を浮き彫りにするとともに、民間AI企業のガバナンス体制が今後さらに重視される流れを強化することになる。
