JPMorgan、中堅企業向けIB部門で史上最多の取引パイプラインを形成
JPMorganのミッドマーケット投資銀行部門を率いるジョン・リチャート氏が、同部門の取引バックログが史上最高水準に達していると語った。リチャート氏は12年前、アトランタを拠点にこの事業を立ち上げた。当初は4人のチームだったが、現在は13のオフィスを展開する約300人のバンカーが、年間10億ドル以上の取引を手がけている。このモデルは、伝統的にニューヨークに集中する投資銀行のあり方を変えるもので、地元の経済と深く結びついた創業者経営の企業を対象に、産業、小売、医療、メディアなど多様な分野をカバーしている。 リチャート氏は、地元での存在感が成功の鍵だと強調する。CEOとのランチ、週末の子どもたちのスポーツイベントでの出会いなど、日常的な関わりが信頼を築く。彼は「ニューヨークから飛来する訪問者ではなく、地域に根ざした存在であることが価値だ」と語る。このアプローチにより、取引の機会が自然と生まれ、特に年配の創業者や次世代の継承を望まない経営者からの需要が高まっている。 同部門は、AIの活用も進めており、内部で開発した大規模言語モデル(LLM)を用いて、S-1書類の作成や情報要約を効率化。1日かかっていた作業が1時間で可能に。これにより、アナリストやアソシエイトの負担が軽減され、勤務時間の短縮とワークライフバランスの改善が実現。AIは人を置き換えるのではなく、より質の高い業務に集中できる環境を整えるツールと位置づけている。 リチャート氏は、リーダーシップの基盤を「先に行動する」ことと「家族を最優先する」文化に据え、全員が互いに尊重し合うチーム作りを重視。同部門は、グーグルやUBSなど大手の追随を受ける中、地元密着型の戦略で独自の強みを築き、2026年以降のマーケット動向にも前向きな見通しを示している。
