新検査が体液の微小粒子から早期のがん検出を可能に
年間 1000 万人が命を落としているがんであるが、早期発見は生存率を劇的に向上させる。しかし、信頼性の高く安価な早期診断ツールが不足しているため、多くのがんは症状が現れた段階で発見されてしまう。カルガリー大学シューリック工学部の研究チームは、血液などの体液に浮遊する微小な泡状粒子、すなわち細胞外小胞に着目し、これらのがん細胞から放出される信号を捉える新しい技術を開発した。従来の検査では見逃されがちだった希少なバイオマーカーとは異なり、これらの小胞はがん細胞が放出するメッセージを運び、他のバイオマーカーが検出されるよりはるかに早期に体液に現れる可能性がある。研究チームは、これら微小な粒子を採取する際、蛍光標識などの外因物質を用いないラベルフリーの電気的方法を採用した。この技術は、粒子が本来持つ電気的特性を利用して静電気力で回収を行うもので、粒子の構造や情報を変化させることなく、自然な状態で分析を可能にする。これにより、がんなどによる異常な細胞通信をより正確に読み解くことが期待される。現在、開発中の「EXOSense」と呼ばれるプラットフォームは、マイクロ流体技術を活用して小型化・低コスト化を図っており、患者からの生体液一滴で簡便に検査ができる液体生検の実用化を目指している。このシステムが完成すれば、従来の複雑な設備が整わない地域でもアクセスしやすく、診断コストを下げながらがんの早期発見と治療のタイミングを早めることが可能になる。同技術は特許出願中であり、今後患者サンプルを用いた臨床試験を経て、実社会への導入が検討されている。がんという病気に対する診断パラダイムを変え、医療の負担を軽減する新たな一歩として期待されている。
