生成AIに期待したほど成果が出ない企業が続出、導入の鍵は「可視化と適切な補完技術」
ABBYYが発表した調査報告書「インテリジェントオートメーションの現状:生成AIへの失望とAIの望み」によると、企業の多くが生成AI(GenAI)の導入において期待以上に困難を抱えている。同調査は、オピニオン・リサーチ社がABBYYの依頼で実施したもので、米国・英国・フランス・ドイツ・オーストラリア・シンガポールの100人以上の従業員を抱える企業の上級管理者1,200人を対象に、2025年6月20日から7月8日まで実施された。 調査の結果、31%の企業リーダーがGenAIモデルのトレーニングが想定よりも難しいと回答。28%はツールの業務プロセスへの統合が困難だとし、26%は適切なガバナンス体制が整っていなかった。さらに、21%は従業員によるGenAIの不適切な使用を指摘している。この状況を受けて、35%の企業がプロセスインテリジェンス、同じく35%がドキュメントAI、25%がリトリーバル・オーガナイズド・ジェネレーション(RAG)を導入し、GenAIの出力を改善している。 こうした補完技術の導入により、98%の企業がGenAIツールに満足しており、出力の一貫性(50%)、業務フローへの統合(45%)、正確性と信頼性(43%)、ユーザーの信頼感(43%)、コスト削減(42%)の向上が実感されている。一方、今後の投資は慎重で、予算増加は16~20%が最多。50%以上の増額を予想する企業はわずか11%にとどまる。 ABBYYのAI上級ディレクター、マキシム・ベルメイール氏は、「企業が期待を超える効果を求めてGenAIに投資したが、実際には不要なツールだったケースも少なくない。導入前にプロセスの可視化とデータ分析によるワークフローの把握が不可欠だ」と指摘。彼は、世界的なファストフードチェーンとの事例を紹介し、ドキュメントAIを活用することで、賃貸契約書からのデータ抽出を82%向上したと述べた。 また、20%の企業で「シャドウAI」が発生しており、従業員が自らの生産性向上のためにChatGPTやGrokなど外部ツールをBYOS(持ち込みソフトウェア)で使用している状況が広がっている。41%は、従業員がすでに使用していたことがGenAI導入のきっかけだったと回答。56%が業務負担の軽減と生産性向上を実感しており、89%のリーダーがポジティブな成果を得ていると評価している。 ABBYYのウルフ・ペルソンCEOは、「GenAIは業務の再設計に大きな可能性を秘めているが、監視のない使用はデータプライバシーとコンプライアンスリスクを引き起こす。企業の価値を最大限に引き出すには、リスク管理を最優先とした戦略的な導入が不可欠だ」と強調している。
