メタ、AI部門で600人規模のリストラを実施へ
Metaは人工知能(AI)分野での競争に遅れを取っているとして、大規模な人材投資と組織再編を進めてきたが、その結果、AI研究部門で約600人の削減が発表された。この動きは、同社の「スーパーアイテルジェンス(superintelligence)」計画の一環として、組織の効率化と意思決定の迅速化を図るためのものとされる。MetaのAI最高責任者であるアレクサンドル・ワン氏は、社内メモで「チームの規模を縮小することで、意思決定に必要な会話が減り、一人ひとりの負担と影響力が増す」と説明。影響を受けたのは、長年にわたりAI研究を担ってきた「ファウンデーションAI研究(FAIR)」チームや、プロダクト関連AIチーム、AIインフラストラクチャ部門など。一方で、「次世代大規模言語モデルの開発」を担うTBD Labは除外された。 この再編は、MetaがAI分野で急ピッチで人材を獲得した後、戦略の不透明さと組織の混乱に直面していることを示している。今年初め、同社はOpenAIやGoogleなどからトップ研究者を50人以上を引き抜くため、数百万ドルにのぼる高給とボーナスを提示。しかし、その一部は数週間で退職を表明するなど、戦略的整合性の欠如が問題視された。また、同社が150億ドルを投じて買収したAIインフラ企業Scale AIの統合後も、その活用方法が明確になっていない状況が続く。 さらに、同社は7月にルイジアナ州に建設中の「ハイパーロン」データセンターに270億ドルを投じるという大規模な投資も発表。この施設はマンハッタンの面積のほぼ全容に相当する規模で、AIの学習に必要な膨大な計算リソースを支える計画だ。しかし、こうした巨額投資と同時に、人材の削減が行われるという構図は、戦略的不整合の象徴ともいえる。 Metaは、影響を受けた社員に対し、他部署への内部転職を促しているが、実際の移動支援の有無や、退職通知のタイミングについては不明。同社は「再編は組織の効率化を目的としており、多くの人は他部署で活躍できる」と説明しているが、AI分野の急速な変化の中、戦略の不確実性が人材の不満と離脱を生んでいる。専門家は、AI開発の成功には技術と人材、戦略の三本柱が不可欠であり、投資と人材削減の両極化は長期的信頼を損なうリスクを伴うと指摘している。 結局、Metaは「AIの未来」に巨額を投じながら、その中核を担う人材を失いつつある。戦略の整合性が欠ける中で、最もコストがかからない「人材」が犠牲になっている現状は、AI競争の本質的な難しさを浮き彫りにしている。
