テスラ・サイバーキャブ、展開へ
テスラは9月3日、テキサス州オースティンでステアリングやペダルを省略した完全自動運転タクシーサイバーキャブの商用運用を開始した。導入初月で車両数を約4倍に拡大したが、待機時間の長期化や誤った場所での乗り降り、ドア類の作動不良などが報告され、サービス品質の精緻化が急務となっている。技術的トラブルは確認されているものの、重大な安全事故は現時点で発生していない。 テスラは自動車販売の頭打ちと中国EVメーカーの価格競争により中核事業に圧力がかかる中、サイバーキャブの成功を企業再生の軸と位置づけている。第3四半期の販売台数は市場予想を上回ったものの、業績改善と投資家感情の回復には自動運転事業のスケールアップが必須だ。競合のウェイモアルファベット子会社は15都市で事業を展開し、週50万回以上の有料稼働と24時間体制の成熟した運用で先行している。 規制当局の動向も注視される。国家安全交通安全管理局NHTSAが連邦安全基準の適合性を巡り監査問い合わせを実施。テスラは回答期限を延長したが、審査は厳格化が予想される。オースティン消防隊は車内操縦装置の欠如が緊急時対応を困難にすると指摘し、州・連邦レベルでの制御基準強化とソフトウェア更新連動の継続的検証を求めている。世論調査では、無操縦装置車両への乗車に不安を覚えると回答した者が50パーセントに達し、NHTSA調査発覚時には70パーセントが運行停止を望んだ。 テスラは次なる段階として、サンアントニオやダラスを含むテキサス州内、ネバダ、フロリダへの拡大を計画する。カリフォルニア州での無人運転許可は未だ取得できない。イーロン・マスクCEOは2026年末の全米展開を公言するが、技術の信頼性向上、規制承認の取得、一般市民の受容性転換が現在の最大の障壁となっている。分析筋は、短期的な規制対応と地域拡大のバランスが企業の命運を分けると指摘している。
