29歳VCがAIスタートアップに3000万ドル級シード投資へ 新ファンドで伝統のVC戦略を覆す
29歳の若手VC、ブライアン・チャン氏がストライカー・ベンチャーパートナーズに加入し、AIスタートアップへの大胆な投資戦略を展開している。彼は「ネルディーな投資」と自らを表現し、技術的背景を重視する投資スタイルを貫いている。シリコンバレーのVC企業CRVを退職後、MIT博士課程中退のベテラン投資家マックス・ガゾル氏とタッグを組み、1億6500万ドル規模の新ファンドを設立。このファンドは1回の投資対象を10社に絞り、初期段階のスタートアップに最大3000万ドルを投じるという、従来のVC戦略とは一線を画す戦略を採用している。 3000万ドルは、通常は製品市場適合(PMF)を達成した段階での資金調達規模。しかし、チャン氏はAIの進化に伴い、種子ラウンドの段階で「核となるアイデア」に賭けるべきだと主張。彼は、現在の種子ラウンドでは22歳の若手起業家がビジネスモデルを持たずにスタートアップを立ち上げることも珍しくないとしている。自身もノースウェスタン大学でコンピュータサイエンスを学び、フェイスブックでコード開発に従事。そこで優れた技術者たちが起業しても、資金調達に苦労している姿を見て、天使投資を始めた。 CRV時代には、スキルドAI、ダイナロボティクス、ペリオディックラボなど、現在注目されるAI企業の初期段階に投資。特に、反射AI(Reflection AI)の種子ラウンドを共同リードし、2億ドルの評価額で投資。その後、同社は20億ドルの評価額まで上昇。チャン氏は、AIの「科学分野応用」に最大の関心を寄せ、元OpenAI研究者でペリオディックラボ共同創業者のウィリアム・フェドゥス氏の活動に注目。AIによる新薬開発の短縮が可能になれば、AI for roboticsと同様の大規模分野になるとの見通しを示している。 彼は、毎日数時間、自ら作成したAIアシスタントで最新のAI研究を精査。会議は極力減らし、事前に戦略的判断を下すスタイル。同僚のガゾル氏は「彼はAIの最前線を理解し、起業家と真の共感をもって接する」と評価。兄妹のスティーファニー・チャン氏(セイクオイア・キャピタルGP)とも共通の投資嗜好を持つが、家庭の食卓では仕事は話さないという。AIの科学応用に注目し、技術的洞察と大胆な判断を武器に、次世代AIの「発明の場」を支える投資家として注目されている。
