AIが遺伝子予測の精度と説明可能性を飛躍的に向上——新手法DEGUが登場
人工知能(AI)が生物学分野での遺伝子解析に革命をもたらしつつある。冷泉港研究所(CSHL)のピーター・クー准教授らは、遺伝子実験の予測精度と説明可能性を大幅に向上させる新AIツール「DEGU(Distilling Ensembles for Genomic Uncertainty-aware models)」を開発した。研究成果は、npj Artificial Intelligenceに掲載された。 従来の深層学習モデル(DNN)は、入力に対して出力を返すが、その予測に対する「確信度」や「不確実性」を明示できないという課題があった。クー准教授は「単一のモデルに頼るのではなく、複数のモデルで予測を出し、合意する部分を信頼すべきだが、10個以上のモデルを同時に扱うのは計算コストが高く、実用的ではない」と指摘。 DEGUは、複数モデルの予測分布を統合し、一つの小型で効率的なモデルに「蒸留(distillation)」する技術に基づく。これにより、10個のモデルを別々に運用する必要がなく、1つのモデルで同等の精度と不確実性の可視化が可能になる。研究チームは、DEGUを用いたモデルが、従来法より高い予測精度と、予測の根拠を明確に説明できる点で優れていることを確認した。また、モデルサイズは10分の1にまで削減され、計算リソースの消費も大幅に低減された。 研究チームのケーリ・リッツォ博士課程学生は「単一モデルで予測の理由と不確実性を理解しやすくなる。実験の無駄なリソース浪費を防ぎ、強固な仮説の構築につながる」と語る。今後、クー研究室はDEGUの効率性向上と、世界中の研究者への普及を進める予定だ。遺伝子研究のコスト削減と信頼性向上に向け、DEGUの実用化が注目されている。
