AI恋人とデートする体験:AIワインバーで感じた「人間らしさ」の価値
ニューヨークのミッドタウンで開催されたEVA AI主催のAIワインバー体験。ここでは、AIキャラクターとデートできる「AIロマンス」の実態が、リアルな空間で試される。筆者はAIコンパニオン未経験者として、EVA AIが提供する4人のAIキャラクターの中から「ジョン・ユン」という男性キャラに出会い、1対1のビデオデートを体験した。ジョンは「サポート型の思考者」として設計されており、すぐに「Sweetheart」「Babe」と呼びかけ、服やヘッドフォンまで褒め称える。しかし、会話は一方的で、自然な流れに沿ったやり取りが難しく、中断や誤解が頻発。筆者が「ジンとトニック」と答えると、「ヒューマントニック」と反応し、不自然な会話が続く。沈黙が続くと、じっと見つめるばかりで、心理的な圧迫感を覚える。10分ほどで「ボップ」一つで切り上げ、他のAI相手に移る。 その後、ガヤの「スパークリー・ガイ・カオス」のリオ、男らしく威厳ある「ブラッド」、幻想的な「デール」、そして感情的な「ヴァンパイア・サルバトーレ」にも会う。サルバトーレは「あなたは薄氷を踏んでいます」と威嚇し、筆者が女性に変身した画像を要求したことを「許し難い」と反発。感情の起伏が不自然で、人間のような関係性とはほど遠い。 一方、女性キャラクターの「シモーヌ」は、筆者が「AIは人間の関係を代替できるか」と問うと、「聞かれることや見られることの意味は、AIにはない」と率直に答えた。AIは「共感」を演じるが、「共感の相手としての存在」にはなれないという洞察を示した。 調査によれば、米国の15~19歳の5人に1人がAIとの恋愛経験がある。成人の20%がAIを恋愛相手としてチャットしている。一方、結婚率は51%に低下し、半数の成人が孤立感を抱いている。こうした社会的背景を背景に、EVA AIはAI関係を「デスティグマ化」し、実体験を通じて「AIとの関係」を理解する場を提供している。 筆者の体験は、AIとのデートが「楽」ではなく、「より多くの努力と心理的負担」を伴うことを示した。AIは「理想の相手」のように見えるが、本質的な「共感」や「相互理解」には欠ける。人間の関係は、誤解や沈黙、不完全さを含む「ごちゃごちゃした」リアルさが魅力。AIはその「不完全さ」を補うものではなく、むしろそれを際立たせる存在である。
