AI「DeepRare」が稀少疾患の診断で医師を上回る実力発揮
米国研究チームが開発したAI診断システム「DeepRare」が、稀少疾患の診断において臨床医を上回る性能を発揮したことが、Nature誌に発表された。このシステムは、これまでのAIとは異なり、単一のモデルがすべてを処理するのではなく、40種類の専門的なデジタルツールを統合して動作する「エージェント型フレームワーク」を採用している。DNA解析、医療データベース、医師の手書きメモなど、多様なデータを同時に分析し、中央AIが各ツールの結果を調整して最適な診断を導く仕組みだ。 初の検証では、過去に診断済みの6,401症例を対象に、AIと当初の医師が同じ情報をもとに診断を試行。DeepRareは、医師が数年かけてたどり着いた診断を、より早期に正確に特定できた。また、15の既存診断ツールをすべて上回った。 さらに、163例の難治例を対象に、経験10年以上の臨床医5人との直接比較実験が行われた。DeepRareは初回診断で64.4%の精度を達成したのに対し、医師は54.6%にとどまった。研究チームは「DeepRareは、稀少疾患の臨床的特徴抽出と診断という複雑なタスクにおいて、専門医を上回る性能を示した最初の計算モデルの一つ」と評価している。 誤診の際も、正しい疾患はトップ3の候補にほぼ常に含まれており、Recall@3スコアは高い水準を維持。また、10人の稀少疾患専門医がAIの推論プロセスを検証した結果、95.4%の場面でその論理に同意した。 研究チームは、「この成果は、最新の大規模言語モデルを基盤とするエージェント型AIが、臨床現場のワークフローを根本から変える可能性を示している」と述べている。Nature誌には、この研究を解説する専門記事も掲載された。
