主要誌、AI による質の低い論文の乱立を指摘
社会科学研究誌の組織科学に掲載された新たな調査によると、生成 AI の普及が学術出版の質の低下を招いており、投稿数と拒否率の増加が確認されています。研究者たちは論文の要約や文章の校正に AI を活用する利点を確認していますが、一方で低品質な投稿レビューが急増する副作用も報告されています。 この調査は、AI タスクフォースが 2021 年から 2026 年にかけて受け付けた約 7,000 件の投稿と 10,000 件以上の審査レビューを分析したものです。2021 年はチャット GPT の登場前であったため、AI 普及前の基準データとして機能しました。検出ツールによる分析と可読性テストの結果、チャット GPT 登場以降、投稿数は 42% 増加し、2026 年初頭には過半数の原稿が何らかの形で AI を使用していました。しかし、Flesch 可読性テストでは文章の読みやすさが低下しており、論文が複雑化している傾向が明らかになりました。 特に AI の活用が目立っているのは、母国語が英語でない機関の研究者チームと、学術誌への投稿経験の浅い新規参入者です。また、出版圧力の強いトップビジネススクールの学者も AI 使用率が高まっています。しかし、AI を活用した投稿は拒否率の上昇と相関関係にありました。 著者だけでなく、査読プロセスにも影響が及びました。専門家の査読レビューの 30% 以上が言語モデルを使用しており、これはかつてない増加率です。AI によるレビューは人間のそれよりも視野が狭く洞察に欠ける傾向があり、編集者は低品質な作業をフィルタリングする負担を強いられています。この状況はピアレビュー制度に多大なストレスを与えており、改善の兆しが見られないと指摘されています。 この問題を解決するため、誌社は研究評価制度の見直しを提言しています。研究の価値を論文の発表数ではなく、アイデアの質で評価する必要があるとしています。この調査は、出版や審査のインセンティブ構造が研究の質を低下させる可能性があることを警告するものとなっています。
