ソルガムが欧州農業の気候変動適応を支える
欧州農業は気候変動への適応を迫られており、イネ科作物であるソルガムがトウモロコシに代わる有望な選択肢として注目されている。フランス国立農学研究所と国立農業食品環境大学校の共同研究チームは、全球温暖化が欧州におけるソルガム収量に全体的に肯定的な影響を与える可能性を示すシミュレーション結果を学術誌Earth's Futureに発表した。 欧州では近年、水需要の大きいトウモロコシの収量が相対的な過去最低水準に達しており、飼料用穀物としてソルガムの栽培拡大が求められている。ソルガムは高温乾燥環境に強く、アフリカや米国で主に生産されているが、欧州では耕作地のわずか0.1%で栽培されているにすぎない。本研究では、過去の気象データと5つの気候モデルに基づく20種類のシナリオを統合した機械学習モデルを用い、21世紀中・末期の収量予測を実施した。 解析結果によると、現在の1ヘクタール当たり3トンの収量は、気候条件の変化に応じて2050年から2100年にかけて3.4から3.8トンに増加すると予測される。高収量かつ安定生産が可能な地域も、現在の耕作地の22%から29%から34%へ拡大する見込みである。地域別では北欧州で収量増が見込まれる一方、南欧州ではやや減少する傾向があるが、全体としては気候変動に対する耐性作物としての役割を果たし得ると結論付けられている。 実用化の観点では、ソルガムを3年に1作の輪作で導入すれば、現在飼料用として使用されているトウモロコシの約90%を代替可能である。特に灌漑水消費の多い地域では、栽培転換により水資源の大幅な節減が実現し、農業全体の気候適応力と飼料自給率の向上に寄与すると指摘されている。水管理の最適化と干ばつリスク低減を同時に図る手段として、戦略的拡大が期待されている。 本研究は、伝統的な穀物栽培パターンを見直し、気候変動に強い代替作物へ移行することで、欧州農業の持続可能性を確保する道筋を示すものとなっている。今後、栽培技術の確立と政策支援の連携により、実規模での導入が進むかが焦点となる。
